ベビーカシミア
ベビー・カシミヤは、生後6カ月頃のヒルカス仔山羊の下毛から採れる、極上の柔らかさと軽さを誇る貴重な繊維です。一生に一度しか採取できないため、希少性はもちろんのこと、成獣の山羊の繊維に比べ繊維は細いという特徴があります。成獣の極細カシミヤの繊維が15 ミクロンなのに対し、ベビーカシミヤは約13.5ミクロンです。
その採取量は限られ1頭から採れる繊維はわずか30 ~40 グラムと多くありません。ロロ・ピアーナでは、非常に繊細で質が良いことで知られるアラシャン地区の白毛のカシミヤ山羊から採れる繊維を使用していますが、当初成獣と仔山羊の毛は混合して扱われていましたが1995年から2005年までロロ・ピアーナは山羊農家を繊維を分別してもらうよう説得し続け、今日仔山羊から採取されるわずかな量の繊細な毛を取り分け、皆様にお届けできるようになったのです。
カシミヤ
カシミヤの西欧最大手メーカーとして知られるロロ・ピアーナは、最高品質とされる中国北部とモンゴルのヒルカス山羊の農家と良好な関係を築き、特別に柔らかい繊維を買い付けています。厳寒の冬と灼熱の夏の温度差が50度もある環境下で生きるヒルカス山羊は、硬い外毛の下に特別に柔らかい下毛を持っています。
カシミヤの繊維は、構造上繊維と繊維の間に小さな空気層があることで保温性が高く、細いほどその効果は優れています。
ロロ・ピアーナでは、約15ミクロンという特に極細の繊維のカシミヤを仕入れますが、一頭でたったの100グラム以下しか採取できません。
一年に一度、4月から5月にかけて採取されたカシミヤは、モンゴル・中国での厳しい品質検査を経て、イタリアで織り上げられています。
ウール
ロロ・ピアーナは、オーストラリアとニュージーランドの12ミクロン以下のファインメリノウールの最大の買い手として知られています。羊毛はオークションで販売されますが、最高等級もしくは最高品質の30~50ベールをロロ・ピアーナでは買い付けます。
その繊維は極細で柔らかく光沢があります。品質への追求と、さらに細いウールの生産を奨励するため、最も細い羊毛を生産した農家には「レコード・ベール」と呼ばれる賞を授与し、最高級ウールの生産をサポートしています。
ペコラ・ネラ
古くから生息していた羊の元来の毛色は黒でした。白い羊毛の方がさまざまな色に染めやすいために、選択的繁殖のプロセスが始まり、白毛種が大部分を占めるようになったのです。ロロ・ピアーナでは、原種の羊の色を持つ黒毛メリノ種の価値を再認識し、その復興に努めるニュージーランドの羊毛農家と協力し、特殊な遺伝子特性を持つ個体だけを注意深く選別して交配することにより、20年の歳月をかけて最高級ウールであるペコラ・ネラ®を産出しました。イタリア語でブラック・シープを意味するペコラ・ネラは、染色をしない黒色メリノ種が持つ温かみのあるブラウンから黒にかけての自然な色合いを持ち、その繊維は特別に強く、艶があり、そしてとても柔らかな手触り感があります。
ロータスフラワー
ミャンマーに豊かな水をたたえる静かな湖、インレー湖に古くから自生する蓮。仏教やヒンズー教において蓮は、清らかさな美しさと聖性の象徴であり、気高く健康に生きることを表してきました。ミャンマーでは伝統的に蓮を繊維とし、生地を生産してきました。蓮の繊維は、収穫から24時間以上経ってしまうと繊維の質が劣化するため、採取後すぐに手作業で繊維としていきます。
1日に生産できる糸は120g、1カ月間に織り上げられる布地は約50mと非常に限られた量しか作ることができません。
この伝統的技術を継続するため、ロロ・ピアーナでは、現地の人々と協力し、生地の生産を保護しています。蓮の繊維は直径約3~5ミクロンと、コットンやリネンよりもさらに細く、世界でも最も細い繊維の1つに数えられています。布地は非常に軽く、通気性に優れ、しわになりにくい性質をもちます。
極めて細い繊維のため、ブレザー1着分に1万3,000mの糸(茎2万6,000本分に相当)が必要です。ロロ・ピアーナは欧米の会社として初めて、この蓮の繊維を使って布地を作り、独特のクオリティを世界に紹介してきました。2019年よりインテリア用の記事としてもこの素材の展開を始めています。
ビキューナ
世界で最も細く稀少とされる動物の繊維「ビキューナ」は、アンデスの高地に生息するラクダ科の小さな動物の毛です。
優雅でしなやかな体つきをしたビキューナは、「アンデスの女王」と呼ばれ、インカの人々はビキューナを崇拝し、狩猟を禁じて保護していました。そのフリースから採れる最高の繊維は皇帝一族だけが使用していましたが、後にビキューナの上質の繊維を手に入れようとした人々によって乱獲され、ビキューナは一時期絶滅の危機に追いやられました。その後、長年かけて様々な保護対策が取られましたが密猟者は後を絶たず、1960年代までにビキューナの生息数は5,000頭を下回り、ついに絶滅危惧種に指定されました。
ロロ・ピアーナは、世界の最高品質の原材料を求める揺るぎない信念と情熱に駆り立てられ、20世紀の半ばからこのビキューナの物語に関わることになります。1980年代に、ペルーでこの「神の繊維」の保護に積極的に乗り出し、1994年 にビキューナ繊維を市場に再投入する独占権を得ました。2008年に、ペルー初の民間の自然保護区「フランコ・ロロ・ピアーナ保護区」を設立。その後5年間で保護区内のビキューナの生息数は倍増し、この貴重な動物の絶滅の危機を回避するロロ・ピアーナの取り組みは大きな成果を上げました。ペルーでの30年にわたる経験を活かして2013年にアルゼンチンに活動を拡大し、アルゼンチン北東部のカタマルカ州の指定区域内に生息する野性のビキューナの毛の採取権を持つようにもなっています。
ロロ・ピアーナは現在、世界第1位の「ビキューナ」の生産メーカーです。ビキューナの成獣の法的に採取の許される繊維の平均直径はわずか12.5~13ミクロンです。ビキューナ繊維を紡ぎ、ファブリックに織り上げ、今日再びこの「神々の繊維」をお届けしています。